壁を建てる

今回は「壁工事(軽量鉄骨/LGS建て込み)」についてお話しします。

内装工事と聞くと、壁や床の仕上げだけを思い浮かべる方も多いかもしれませんが、その裏側には実は「下地」と呼ばれる構造部分が隠れています。

特にオフィスや店舗などの商業施設では、この下地にLGS(軽量鉄骨)を使った工法が主流となっています。

LGSとはLight Gauge Steel(ライトゲージスチール)の略で、 ライト(軽い)、ゲージ(規格)、スチール(鉄骨)を意味しています。
軽量鉄骨、さらに略して軽鉄などとも呼ばれ、どれも内装工事に用いられる材料を指しています。

空間を設計する設計者は、どのように空間をデザインするかだけでなく、現場で効率よく施工できる工法や構造も考慮しています。

「軽量鉄骨/LGS」は壁や天井の下地に使われることが多く、空間のレイアウト変更やデザイン性の高い構造にも対応できるため、設計の自由度が高く一般的に多く用いられる工法です。


【LGS工法って何?】

LGS建て込みは、商業施設やオフィスの改装、新築工事などでよく使われる工法です。

壁や天井の下地を作る際、木材や他の素材を使う場合もありますが、近年は軽量で加工がしやすいLGSが多く採用されています。特に、天井の高さや広いスペースを活かしたデザインには、LGSのメリットが生きてきます。

また、オフィスビルや商業施設では、テナントの入れ替えや空間の変更が頻繁に行われます。その際、LGSを使った壁や間仕切りは比較的簡単に変更できるため、長期的なメンテナンスやリフォームにも対応しやすいのです。

1. 墨出し

まず最初に行われるのが「墨出し」という工程です。

これは、設計図を元に現場で壁の位置や高さを正確にマーキングする作業で、仕上がりの精度に大きく影響する重要なステップです。

設計者としては、ここで正確な測定がされるかどうかが、空間のデザインを忠実に再現できるかどうかの分かれ道です。

2.  軽量鉄骨の組み立て

次に、マーキングされた位置に沿ってLGSを組み立てます。

天井や床に固定して、壁の骨組みを作っていくのですが、この際に「配管や配線のスペースをどう確保するか」など、設計段階での細かい調整が大切になります。

空調や電気配線をスムーズに通すために、あらかじめそれを想定した設計をしておくと、現場でのトラブルを防ぐことができます。

3.  壁材の取り付け

LGSの骨組みが完成したら、その上に石膏ボードなどの壁材を貼り付けます。

この工程で初めて、壁の形が現れます。設計者としては、ここで素材選びや仕上がりの質感に注目し、デザインの意図がうまく反映されているかを確認することが重要です。

【LGSを使う際の注意点】

LGSは非常に便利で汎用性の高い工法ですが、設計者としてはいくつかの注意点を考慮する必要があります。

見た目のデザインや施工スピードを追求するだけでなく、実際に現場での使い勝手や後々のメンテナンスまで見据えて、適切な選択をすることが大切です。

1. 配管や配線のスペース確保

LGSの設計において、特に注意したいのは配管や電気配線の通り道をしっかり確保することです。

設計段階でこれを見落とすと、施工中に「どこに配線を通せばいいのか?」という問題が発生し、作業が遅れる可能性があります。

これは特に天井の低いスペースや、複雑なレイアウトが求められる空間で重要なポイントです。

2. 防音性や断熱性の確保

LGSそのものは軽量であるため、防音や断熱性能は必ずしも高くありません。

オフィスや住宅で特に防音性が求められる場所では、LGSの下地の上に防音材を追加したり、二重壁構造にするなどの工夫が必要です。

設計者としては、空間の使われ方に応じて、壁の厚みや素材を工夫して最適なバランスを考えることが求められます。

3. 仕上がりの質感

LGSを使った壁は、仕上げ次第でその印象が大きく変わります。

特に、商業施設やデザイン性の高い住宅では、最終的な仕上がりが空間全体の印象を決定づけるため、壁材の選定や細部の仕上げにこだわりたいところです。

LGS自体はあくまで下地なので、仕上げ材によってデザイン性を高めることがポイントです。

【LGSと他の工法との比較】

LGS工法は非常に広く使われていますが、他にもいくつかの工法が存在します。ここでは、LGSと他の工法を比較し、それぞれのメリット・デメリットを整理してみましょう。

木造下地との比較

従来の木材を使った下地と比べると、LGSは軽量で強度が高い点がメリットです。

木材は加工しやすく、デザインに柔軟に対応できる反面、湿気や火災に弱いという欠点があります。

一方、LGSは錆びにくく、防火性に優れているため、より安心して使える素材と言えます。

ただし、木材の方が断熱性や防音性に優れていることが多いため、どちらの工法を選ぶかは、プロジェクトごとのニーズ次第です。

重量鉄骨との比較

重量鉄骨はLGSに比べてさらに強度が高く、大規模な建築物の骨組みとして使われますが、加工が難しくコストが高い点がデメリットです。

内装工事の下地としてはオーバースペックな場合が多いため、通常はLGSが選ばれます。

特に、内装の軽量化を図りたい場合や、施工スピードを重視する場合はLGSが圧倒的に有利です。

(リンク)【店舗内装の裏側】軽天工事、軽鉄工事、LGS工事とは?


まとめ

LGS建て込みは、内装工事における壁や天井の下地として非常に重要な工法です。設計者として、この工法を理解し、適切に活用することで、空間のデザイン性や機能性を高めることができます。特に、オフィスや商業施設、住宅のリノベーションなど、柔軟な空間設計が求められるプロジェクトにおいては、LGSの持つメリットが大いに活かされます。

設計段階で工法を選ぶ際には、LGSの特性をよく理解し、空間の使われ方やクライアントのニーズに合わせた最適な設計を心がけることが大切です。今後もますます需要が高まるLGS工法をうまく活用し、デザインの幅を広げていきましょう。


〜登場キャラクターのご紹介〜

>現場管理の犬猫コンビ
>軽鉄もたてちゃう大工コンビのリス・ザルコンビ

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「壁を建てる」への1件のフィードバック

  1. かなり昔の事ですが
    65スタット壁の天井側のランナー
    軽量屋さん 天井にビス打つの忘れてて(スタッドで、つぱって立ってたようです)
    そのままボード貼りまで行き、ボード貼り終わるころに壁が倒れたってことがありました。

    きおつけて・・・・・・

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