設計業務の種類

今回のテーマは「建築内装デザインにおける設計業務の種類」です。

建築・内装デザインの舞台裏には設計図面が欠かせません。これらの図面はプロジェクトの成功に欠かせない要素であり、基本図、実施図、施工図といった種類が存在します。今回は、これらの設計図面がどのようにプロジェクトを支え、進化させていくのかについて、詳しく探っていきましょう。


【内装デザインが出来上がるまでの舞台裏】

1. 基本図:デザインの原点を描く

基本図は、プロジェクトのデザイン段階で最初に描かれる図面です。海外では「SCHEMATIC DESIGN=スキマティックデザイン」とも呼ばれます。

これは内装でも什器でも全てに共通し、設計者のアイデアやコンセプトが形となる場であり、壁の配置や大まかなゾーニングが示されます。この段階では、全体のデザインや什器レイアウトが具体的になる前に、クライアントの希望やデザイナーのアイデアの骨組みが確立されます。この時点で大きな手戻りが無いように、設計上の法規や規制をクリアにすることも重要なポイントです。

  • イメージパース:店内やファサードの大まかなデザイン、高さ関係がわかるイメージパース
  • 仕上表:壁/床/天井/什器などに使用される仕上の情報、品番をまとめた表
  • 平面図:壁や扉の配置、各部屋の名前と面積、ゾーニングをまとめた計画図
  • 床伏図:床のレベルと仕上、床材の切替位置などを示す図面
  • 天伏図:天井高さと仕上、照明器具その他空調や必要設備の位置を示す図面
  • 展開図:立面的なデザインと仕上、壁面什器や建具など高さ関係を指示する図面
  • 什器図:什器の平面図/立面図/側面図と大まかな断面図を合わせた姿図

プロジェクトによっても異なりますが、主に必要となる図面は上記のものがあります。基本図はクライアントとのコミュニケーションの一環でもあり、場合によってはマテリアルサンプルも合わせ、設計デザインの方向性を確認するための基盤となります。

2. 実施図: 詳細なデザインの具現化

基本図が設計の原点を描くのに対し、実施図はそのアイデアを詳細に具現化する段階、「DESIGN DEVELOPMENT=デザインディべロップメント」とも呼ばれます。内装や什器の各部分の形状やサイズ、納まり、素材などが具体的に示されます。必要となる図面は基本図の内容に加え、更に掘り下げた内容や詳細図を追加します。

  • 仕上表:艶の有無など具体的な仕上内容
  • 平面図:壁厚や扉の納まり、別紙で仕上範囲図など
  • 床伏図:床見切りやタイル割取り合いなどの詳細
  • 天伏図:防災設備など法規に則したレイアウト検証
  • 展開図:壁面設置什器やリモコン・コンセントなどの位置指示、壁下地の範囲
  • 什器図:各所納まり詳細、金物や照明器具などの品番や仕上指示
  • 詳細図:各所壁断面詳細図、各造作の納まり
  • 他電気/機械/衛生/空調/ガス/給排水設備図など

上記のように、図面上のデザインから構造や納まりを施工に向け明確化していきます。実施図はクライアント、設計者、そして施工者との円滑なコミュニケーションを支え、プロジェクトの具体的な方向性を示すものです。ここまでくればリアルな全体金額も見え、具体的な施工検討の準備は整ったも同然です。

3. 施工図: 現場での実現を導く道標

施工図はプロジェクトが具体的に形になる最終的な図面です。各部位の構造や仕上げ、設備などが具体的に示され、現場の施工者がこれに基づいて実際の作業を進める際の指針となります。これには収まりの詳細仕様や施工の手順が含まれ、内装が設計通りに完成するための情報が凝縮されています。施工図は精密な情報を含んでいるため、誤解を避けるための正確なコミュニケーションが不可欠です。

(リンク)建築図面の基礎知識!まずは図面の種類と役割を知ろう

https://www.kenchiku-kyujin.jp/column2/%E5%BB%BA%E7%AF%89%E5%9B%B3%E9%9D%A2%E3%81%AE%E5%9F%BA%E7%A4%8E%E7%9F%A5%E8%AD%98%EF%BC%81%E3%81%BE%E3%81%9A%E3%81%AF%E5%9B%B3%E9%9D%A2%E3%81%AE%E7%A8%AE%E9%A1%9E%E3%81%A8%E5%BD%B9%E5%89%B2%E3%82%92


【設計図はプロジェクトの成功を支える土台】

建築図面は建築プロジェクトにおいて不可欠な要素であり、その重要性は以下の点にあります。

1. デザインの可視化:図面を通じて設計者のアイデアやコンセプトが可視化され、クライアントとの共有が容易になる

2. 効率的な施工:実施図や施工図には具体的な寸法や仕様が示されており、これに基づいて現場での作業が円滑に進行する

3. コミュニケーションの円滑化:基本図から施工図まで、各段階での図面は関係者間のコミュニケーションを円滑にし、プロジェクトの方針や進捗を共有する

4. 安全性の確保:施工図には建築/内装の構造や設備に関する重要な情報が含まれており、これに基づいて施工が行われるため安全性を確保する役割も果たす


まとめ

設計図面はプロジェクトの根幹をなす要素であり、基本図、実施図、施工図といった様々な段階でその姿を変えながらプロジェクトを支えています。

材料の性質や建築法規により、デザイン通りに実現しないこともままあります。

その時設計図面は各所への重要な説明資料となり、これらの図面を通じて内装や建築が設計通りに完成し、利用者に快適で安全な空間を提供できるよう、デザイナーと施工者が協力して進めていくことが重要です。

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